めまいがする高齢者のための安心ガイド｜原因から治療、予防法まで徹底解説

めまいは、高齢者にとってよくある症状の一つですが、その原因は多岐にわたり、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。このページでは、高齢者のめまいについて、その種類や症状、原因、そして家庭でできる対処法や予防法まで、分かりやすく解説しています。めまいの原因には、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎といった耳の病気のほか、脳梗塞や脳出血などの深刻な病気、高血圧や低血圧、貧血、薬の副作用、脱水症状、自律神経の乱れなども考えられます。この記事を読むことで、めまいの原因や症状を理解し、適切な対処法を知ることができます。また、日常生活で実践できる予防法も紹介しているので、めまいを未然に防ぎ、健康的な毎日を送るためにも、ぜひ参考にしてください。

1. 高齢者のめまいとは？

めまいは、自分や周囲が動いているように感じる感覚で、高齢者によく見られる症状です。高齢になると、めまいを引き起こす原因となる病気が増えたり、バランス感覚が低下したりするため、めまいを感じやすくなります。めまいは日常生活に支障をきたすだけでなく、転倒による骨折のリスクを高めるなど、深刻な事態につながる可能性もあります。そのため、めまいの種類や原因を理解し、適切な対処法を知ることが重要です。

1.1 めまいの種類と症状

めまいには大きく分けて以下の3つの種類があります。

1.2 高齢者にめまいが多い理由

高齢者にめまいが多い理由には、加齢による身体機能の低下が大きく関わっています。具体的には、以下の要因が考えられます。

• 平衡感覚の衰え：耳の奥にある内耳の機能が低下することで、平衡感覚が保ちにくくなります。
• 血圧調節機能の低下：立ち上がった際に血圧が急激に低下し、脳への血流が不足することで立ちくらみが起こりやすくなります。
• 筋力の低下：足腰の筋力が低下することで、体のバランスを保ちにくくなり、ふらつきやめまいを感じやすくなります。
• 複数の疾患を抱えていること：高齢者は複数の疾患を抱えていることが多く、それらがめまいの原因となる場合や、服用している薬の副作用でめまいが生じる場合もあります。
• 脱水症状：高齢者は水分摂取量が少なくなりがちで、脱水症状によってめまいが起こることもあります。

これらの要因が複雑に絡み合い、高齢者のめまいを引き起こしていると考えられます。

2. めまいを引き起こす原因

めまいは、様々な原因で引き起こされます。高齢者の場合、加齢に伴う身体機能の低下も影響するため、原因を特定することが重要です。ここでは、高齢者のめまいの代表的な原因について解説します。

2.1 良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、特定の頭の位置の変化によって引き起こされる回転性のめまいです。耳の奥にある三半規管という平衡感覚をつかさどる器官に、耳石という小さなカルシウムの結晶が入り込むことが原因と考えられています。頭を動かした時に強い回転性のめまいと吐き気を生じますが、数秒から数分で治まるのが特徴です。

2.2 メニエール病

メニエール病は、内耳のリンパ液のバランスが崩れることで起こる病気です。回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感などの症状が繰り返し起こります。めまいの発作は数十分から数時間続くことがあり、吐き気を伴うこともあります。

2.3 前庭神経炎

前庭神経炎は、内耳と脳をつなぐ前庭神経に炎症が起こることで、強い回転性のめまいが生じる病気です。多くの場合、ウイルス感染が原因と考えられています。めまいは数日間続くことがありますが、通常は自然に治まります。難聴や耳鳴りを伴うことはありません。

2.4 脳梗塞・脳出血

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害も、めまいの原因となります。脳への血流が途絶える、あるいは脳内で出血することで、様々な神経症状が現れます。めまいの他に、ろれつが回らない、手足の麻痺、激しい頭痛などの症状が現れる場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

2.5 その他の原因

上記以外にも、様々な原因でめまいが起こることがあります。めまいが続く場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

3. 高齢者のめまいを病院で診断してもらうには？

めまいが続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。早期に原因を特定し、適切な対処をすることで、めまいの症状を改善し、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

3.1 何科を受診すれば良い？

めまいの症状が現れた場合は、まずは耳鼻咽喉科、神経内科、脳神経外科を受診するのが一般的です。めまいの原因は多岐にわたるため、どの科を受診すれば良いか迷う方もいらっしゃるかもしれません。かかりつけ医がいる場合は、まず相談してみるのも良いでしょう。かかりつけ医が適切な専門科を紹介してくれるでしょう。

また、めまいとともに、頭痛、吐き気、嘔吐、ろれつが回らない、手足のしびれなどの症状がある場合は、脳神経外科を受診することをおすすめします。これらの症状は、脳梗塞や脳出血などの深刻な病気が隠れている可能性があるため、迅速な診断と治療が必要です。

3.2 どのような検査をするの？

めまいの原因を特定するために、医療機関では様々な検査が行われます。問診では、めまいの種類、発症時期、持続時間、頻度、誘発要因、関連症状などについて詳しく聞かれます。問診に加えて、下記のような検査が実施されることがあります。

これらの検査以外にも、必要に応じて追加の検査が行われることもあります。医師の指示に従って検査を受けてください。

4. めまいの治療法

めまいの治療は、その原因によって大きく異なります。自己判断で治療を行うのではなく、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。ここでは、めまいの原因別に一般的な治療法について解説します。

4.1 薬物療法

めまいの症状を抑える薬や、原因となっている病気を治療する薬が処方されます。例えば、メニエール病に対しては、めまい発作を抑える薬や、内耳の水分代謝を調整する薬が用いられます。また、吐き気や嘔吐がひどい場合には、制吐剤が処方されることもあります。

薬の種類や服用方法は医師の指示に従い、自己判断で変更したり中止したりしないでください。副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

4.2 理学療法

良性発作性頭位めまい症では、耳石を元の位置に戻すための理学療法（頭位治療）が有効です。理学療法士の指導のもと、エプリー法やセモン法などの体操を行います。これらの体操は、自己流で行うと症状が悪化する場合があるので、必ず専門家の指導を受けてください。

メニエール病や前庭神経炎など、バランス機能が低下している場合にも、バランス訓練などの理学療法が有効です。理学療法は、めまいの再発予防にも効果的です。

4.3 手術療法

薬物療法や理学療法で効果がない場合や、腫瘍など手術が必要な病気が原因である場合には、手術療法が選択されることがあります。メニエール病では、内リンパ嚢減圧術や前庭神経切断術などが行われることがあります。手術療法は、めまいの原因や症状、全身状態などを考慮して、医師が慎重に判断します。

5. 高齢者のめまいの予防法

めまいは、再発しやすい症状です。めまいを予防するためには、日頃から生活習慣に気を配り、めまいを起こしにくい体づくりを心がけることが大切です。ここでは、高齢者のめまいの予防に効果的な方法をいくつかご紹介します。

5.1 生活習慣の改善

生活習慣の乱れは、めまいの原因となることがあります。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけましょう。

5.1.1 規則正しい生活

睡眠不足や不規則な生活は、自律神経のバランスを崩し、めまいを引き起こす原因となります。毎日同じ時間に起床・就寝し、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。目安として、7時間程度の睡眠をとるように心がけてください。

5.1.2 バランスの良い食事

栄養バランスの偏った食事は、貧血や低血圧などを引き起こし、めまいを悪化させる可能性があります。肉、魚、野菜、果物など、様々な食品をバランス良く摂取するように心がけましょう。特に、鉄分、ビタミンB群、ビタミンCなどは、めまいの予防に効果的と言われています。インスタント食品や加工食品の摂りすぎには注意しましょう。

5.1.3 適度な運動

適度な運動は、血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります。ウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣を身につけましょう。ただし、激しい運動は逆効果になる場合があるので、自分の体力に合わせて運動量を調整することが重要です。

5.2 めまい体操

めまい体操は、内耳の機能を改善し、めまいを予防する効果が期待できます。いくつか種類がありますが、代表的なものをご紹介します。医師や理学療法士の指導のもと、正しく行うようにしてください。

これらの体操は、めまいの種類によっては適さない場合もあります。必ず専門家の指導のもとで行うようにしてください。

5.3 ストレス軽減

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、めまいを悪化させる原因となります。趣味やリラックスできる活動などを通して、ストレスを上手に解消する方法を見つけることが大切です。十分な睡眠をとることも、ストレス軽減に効果的です。

6. めまいが起きた時の対処法

めまいが起きた時は、落ち着いて行動することが大切です。慌てた行動は、症状を悪化させたり、転倒などの危険につながる可能性があります。まずは、ご自身の安全を確保することを最優先に行動しましょう。

6.1 安全な場所を確保する

めまいを感じたら、すぐに安全な場所に移動しましょう。たとえば、歩行中にめまいを感じた場合は、道路の端や壁際などに移動します。屋内にいる場合は、家具などに掴まりながら安定した場所に移動するか、床に座りましょう。転倒のリスクを減らすことが重要です。

6.2 楽な姿勢をとる

安全な場所に移動したら、楽な姿勢をとりましょう。横になるのが一番良いですが、難しい場合は、椅子に座って頭を膝につける、壁にもたれかかるなど、楽な姿勢で安静にします。めまいによって吐き気を伴う場合は、横向きに寝ると、吐瀉物を喉に詰まらせるリスクを軽減できます。

6.3 水分補給をする

脱水症状もめまいの原因の一つです。めまいを感じたら、水分補給を行いましょう。ただし、冷たい水ではなく、常温の水やぬるま湯をゆっくりと飲むようにしてください。急激な温度変化は、身体に負担をかける可能性があります。

6.4 周りの人に助けを求める

めまいがひどい場合や、一人で対処するのが難しい場合は、周りの人に助けを求めましょう。家族や友人、職場の方などに、状況を説明し、必要な場合は病院への付き添いをお願いします。一人で抱え込まず、周りのサポートを受けることが大切です。

7. 高齢者のめまいに関するよくある質問

めまいは高齢者に多く見られる症状であり、様々な原因が考えられます。そのため、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは、高齢者のめまいに関するよくある質問にお答えします。

7.1 めまいが起きたらすぐに救急車を呼ぶべき？

めまいが起きた際にすぐに救急車を呼ぶべきかどうかは、めまいの症状や状況によって異なります。

以下のような場合は、すぐに救急車を呼ぶことをおすすめします。

• 激しい回転性のめまいが突然起こった
• 意識がもうろうとしている
• ろれつが回らない
• 手足がしびれる、または力が入らない
• 激しい頭痛を伴う
• 転倒して頭を打った

一方で、比較的軽いめまいで、他に症状がない場合は、まずは安静にして様子を見ましょう。水分を摂ったり、楽な姿勢をとることで改善する場合もあります。しかし、めまいが続く場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。

7.2 めまいを繰り返さないためにはどうすれば良い？

めまいを繰り返さないためには、原因に応じた適切な治療を受けることが重要です。自己判断で対処せずに、医療機関を受診し、適切な指導を受けましょう。また、生活習慣の改善も重要です。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めないようにしましょう。めまいの種類によっては、特定の体操が効果的な場合もありますので、医師に相談してみましょう。十分な睡眠をとることも大切です。睡眠不足は自律神経の乱れにつながり、めまいを引き起こす可能性があります。

7.3 めまいと認知症の関係は？

めまいと認知症は直接的な関係はありませんが、めまいを引き起こす原因となる病気が、認知症のリスクを高める可能性があります。例えば、脳梗塞や脳出血は、めまいを引き起こすだけでなく、認知症のリスクを高めることが知られています。また、めまいによって外出を控えたり、活動量が減ったりすることで、認知機能の低下につながる可能性も考えられます。そのため、めまいが続く場合は、医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。早期に適切な治療を行うことで、認知症のリスクを低減できる可能性があります。

8. まとめ

高齢者のめまいは、様々な原因で起こりうる症状です。良性発作性頭位めまい症やメニエール病、脳梗塞といった深刻な病気の可能性もあれば、脱水や薬の副作用、自律神経の乱れなど、比較的軽度な原因の場合もあります。めまいの種類も回転性、浮動性、立ちくらみなど様々です。めまいを感じたら、まずは安全な場所に移動し、楽な姿勢をとって安静にしましょう。水分補給も大切です。症状が続く場合や、激しい頭痛や吐き気、手足のしびれなどを伴う場合は、速やかに医療機関に相談してください。めまいの原因を特定し、適切な治療を受けることで、症状の改善や再発防止につながります。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動などの生活習慣の改善も、めまい予防に効果的です。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。